令和2年度の地域別最低賃金額 改定の目安は示されず据え置きへ
令和2年7月22日に開催された「第57回 中央最低賃金審議会」で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられました。
この答申は、「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」が取りまとめた目安に関する見解等を、地方最低賃金審議会に示すものです。
本来であれば、同月20日の小委員会で取りまとめられる予定でしたが、労使間の対立が激しく、同月22日にようやく取りまとめられました。
その答申のポイントは次のとおりです。
●令和2年度地域別最低賃金額については、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当。
●地方最低賃金審議会において、上記見解を十分に参酌しつつ、地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求める意見も勘案しつつ、適切な審議が行われることを希望。
●来年度の審議においては、新型コロナウイルス感染症等による様々な影響を踏まえながら、経済の好循環継続の鍵となる賃上げに向け、日本経済全体の生産性の底上げや、取引関係の適正化など、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金については更なる引上げを目指すことが社会的に求められていることも踏まえ、議論を行うことが適当。
「現行水準を維持することが適当」というところで決着しましたが、1円以上の有額の目安を示さなかったのは、平成21年度以来であり、目安が時間額に統一された平成14年度以降5回目だということです。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議を行った上で、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<日商:未曽有の苦境にある中小企業・小規模事業者の実態を反映した適切な結論であり、これを評価する>